短期大学が全国的に激減している昨今にありながら、社会から求められ、またその中で、國學院大學栃木短期大学が存在する意義とは。2007年4月から就任した中村幸弘学長と旧友でもある木村好成理事長が語り合う。
理事長:中村新学長とは大学時代の柔道部の同期生の間柄。50年経って昔の仲間と仕事ができるとは、本当に幸せな感じがしています。伝統を背景に持ちながら、これから前進していくんだという姿勢で共に進みたいと思っています。
学長:教員一人ひとりがしっかりと教育する意欲と姿勢があれば、そこに学生はついてくる。この信念のもと、私も、新しい時代に即応した講義内容を準備して、学生諸君との接触に取り組んでいきます。
1学年に300人しかいないからこそ、学生一人ひとりと出会うことができる。学長自ら教壇に立ち、とかく空疎な観念的なことばの理解を徹底させて物事の本質を体得させたい。
理事長:「学問は根本を明らかにすることが大切である」と本学は設立の趣旨でも掲げています。物事への理解を深めるためには、日本固有のことばを知ることが大切でしょうね。いろいろな問題を、私たちはことばを通して見ていきます。ことばの力があれば、理解が早くなり、しかも確実になると思うのです。
学長:ことばの理解が不十分なために内容の理解にたどり着けない。そんなところを補っていきたいですね。私たちはことばを通して、いろいろなことを伝達します。そこで、次代を担う学生諸君には、その伝達内容を十分に受けとめることのできる態勢を整えていただきたいと思っています。
短期大学は高校から大学へのあいだ、“Between”である。本当に自分はこういう人生でいいのか、真剣に考え、自分の人生の大きな起点として前進するために、この國學院大學栃木短期大学での2年間を存分に活用してほしい。
理事長:自分で自分に見切りをつけてしまう人が最近多い。自分の可能性というものを信じて、常にまじめに前進していくんだという意気込みを、何に対してでもいいから持ち続けてほしいものです。
学長:単なる教養を身に付けるだけではなく、出会いの場として、人生のスタート地点と位置づけられるような講義にしていくことが目標です。ですから、学生諸君には積極的に意見を求めたいですね。
高校の段階で夢や希望をあきらめないでほしい。この短大を学究の原点として、4年制学部へ編入学する。この短大を意欲の原点として、期待の職場で自立する。さまざまな進路を求めて伸びていった多くの先輩たちに倣って、この短大から出発していってほしい。
理事長:進路指導にも力を注いでいますが、学生時代をまじめに過ごした学生は、必ず結果を出しています。つまり「就職」というものは後からついてくるものなのです。ここでの2年間のさまざまな活動、学んだこと、それがあれば手に入るのです。
学長:教育現場の「総合学習」。しかし、なお不十分です。その一部を、ここは大学ですが、実践していきたい。所属する学科の専門の枠を超えて全学科共通の科目で、この科目を通して、実社会で生きていける力を育てていきたいと思います。
この短大は小規模なぶん、学生同士、教員や職員と顔をすれ違わせたり、コミュニケーションを交わす機会も多い。その出会いのなかで成長する密度の濃い2年間。人との出会いから生まれる、新しい発見がたくさんある。
理事長:本学の卒業生が社会の第一線や専門分野の研究者として幅広く活躍していることは私たちの自信でもありますが、卒業するときの満足度の高さもたいへん誇れるものです。人と人の出会いが、人を呼んでくる。自分たちのいい思い出が、後輩へと引き継がれていく。それがつながっていることが大切だと思います。私と学長の縁も不思議なものです。出会うことからはじまる教育の伝統、それを絶やさないでいきたいですね。
学長:それぞれが幸せに生活できる基盤を築くための第一歩。そのために、学生一人ひとりに向き合いながら、私も、共に育っていきたいと思います。